血管や神経の障害が原因で起こるED(器質性ED)
誰でも、速かれ遅かれ年をとると、やがてEDの症状がでてくるものです。これは、年齢
が上がるにつれて、血管や神経に様々な障害が起こるためですが、特に動脈硬化による血管障害はその原因のひとつです。加齢に伴うEDは避けられないものの、中高年になってからも勃起機能を維持するためには、普段からEDの原因となりうる病気の予防、生活習慣や嗜好性などに注意することが重要です。実際、80歳を超える方でも健康上に問題がなければED治療を行うことは可能ですので、あきらめずに医師に相談してみましょう。
糖尿病や高血圧、高脂血症などの生活習慣病が原因となり、血管や神経が障害を受けて起こる混合型のEDです。例えば、陰茎を通る動脈の動脈硬化が進むとEDが起こりやすくなります。動脈硬化は全身病の一環と考えられ、生活習慣病と密接に関連しています。そのため、糖尿病、高血圧、高脂血症、心血管障害など血液循環に関連する生活習慣病を有する方はEDが起こりやすくなるのです。一方、喫煙や過度の飲酒もEDを引き起こす原因と考えられています。
糖尿病患者におけるED併発率
糖尿病は、血管や神経などに障害が起こるため、生活習慣病の中でもEDの起こる割合が最も高い疾患になります。糖尿病の進行度によりEDの症状も軽度から重度のものまであります。
高血圧患者におけるED併発率
高血圧は動脈硬化を引き起こす原因の1つであるため、EDの起こる割合が高くなります。また、服用している薬剤がEDの原因となることもあるため、注意が必要です。
高脂血症患者におけるED併発率
高脂血症は動脈硬化の原因であるため、EDの起こる割合が高くなります。
正常な勃起のためには、神経が重要な役割を担います。神経には脳を含む中枢神経、脳と末梢をつなぐ脊髄神経、身体全体に広がる末梢神経がありますが、性的刺激を受けた脳は、これらの神経を介して、その信号を陰茎に送ります。そのため、いずれかの神経が障害を受けると、脳からの信号が陰茎まで伝わらず、EDの原因となります。 脳出血、脳腫瘍、脳外傷、パーキンソン病、アルツハイマー病などの疾患は、自律神経障害を起こすためEDの原因となりますが、以前はあまり知られていませんでした。最近では、ED治療薬が発売されてからは一般のリハビリテーション病院でも性機能に関する相談を行う施設が増えています。
前立腺がんや膀胱がんの摘出術、直腸がんの切除術などの骨盤内臓器を摘出する手術は、陰茎海面体の血管や神経を損傷する危険性あります。以前は、がんの手術といえば再発を防ぐためできるだけ多くの部分を取り除く手術が行われていました。しかし、最近では手術後の生活を重視して、勃起機能を残すために神経や血管をなるべく残す手術法をとっている医師が多くいます。手術を行う前に医師と十分な話し合いを行うことが大切です。 また、外傷では交通事故などによる骨盤骨折や脊椎損傷がEDの原因としては最も多くなります。外傷の場合、麻痺や神経反射機能の程度によっては時間を要するものの、治癒する場合もあります。特に若い方ではED治療薬の効果も高いといわれています。
前立腺肥大症、前立腺炎や精巣静脈瘤などの泌尿器科系の疾患はEDの原因となりえます。 また、排尿状態が悪いことなどが心理的な影響を与えてEDが起こったり、治療薬の一部にEDを引き起こす薬剤が含まれていることもあります。 また、慢性腎不全の方や血液透析を受けている方では、ホルモンが変化したり、全身の動脈硬化や神経障害が次第に進行するためにEDが起こりやすくなります。そのほか、椎間板ヘルニア、脊髄腫瘍、多発性硬化症などの疾患、生まれつきの病気により陰茎の形が性交に適さない場合などはEDの原因となることがあります。 |